2011年4月21日 (木)

あれから1年、そしてこれから

1 あれから

 我が愛しのバンドMARIAが正式に解散してから、はや一年が過ぎてしまった。わずか一年前のあの頃がはるか昔のことのように感じられるのは、やはり先月の震災の影響が大きいのだろう。たとえ地震の被害を直接受けなくとも、メディアなどで繰り返し映し出される被災地の光景は否応なく我々の認識を揺るがし、その枠組を根底から変容させることとなった。

 その結果、我々は同じ物事に対しても以前とは異なる認識を覚えるようになり、またその新しい認識の下で周囲に働きかけることで、日々の生活が更新されていくことになる。わずか一年前のことがセピア色をした遠い過去のように感じられるのも、筆者の認識枠組が以前とは大きく変わってしまったことの証なのだろう。

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2010年10月 5日 (火)

『MARIA BOX』雑感(6) 気配りのドラマー、TATTSU

1 ドラマーとしての進化

1・1 ドラミングの変化?

 このブログでは何度も触れているように、筆者が初めて行ったMARIAのライブは、2007年夏ツアーの大阪公演である(詳細はこちらのレビューを参照)。その時もっとも印象に残ったことの一つが、TATTSUのパワフルなドラミング。お腹にズシズシと響いてくるバスドラのキック音、耳に突き刺さるようなスネアやシンバルのヒッティング音に、ただただ圧倒されたことを覚えている。この年のツアーの模様を収録したライブDVD(MARIA LIVE TOUR WE ARE MARIA 2007~YOU GO!!~)は、ドラムサウンドが前面に出る独特のミキシングが施されているのだが、実際に会場で耳にしたドラム音はこれよりもさらに強烈な感じだった。

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2010年8月28日 (土)

『MARIA BOX』雑感(5)れいなの役割についての一考察

1 KP(キーボード&パフォーマンス)という重責

1・1 パフォーマンスの輝き

 ラストライブ(当日)のレビューで筆者は、「れいなのパフォーマンスも、「Image」でのスキャット以外はあまり目立たなかった気がする…」と書いた。しかし今回、ディスク5を視聴し直してみて、彼女に対する筆者の印象は大きく覆ることになった。

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2010年8月25日 (水)

『MARIA BOX』雑感(4)舞衣子・愛華・あゆか・SACCHINについての覚書

 筆者は4月3日のラストライブに実際に参加していたわけだが、その時の印象(これについては、こちらのレビューなどを参照)とディスク5を視聴してみての印象との間に、それほど大きな差は感じられなかった(注)。ただ、MARIAのパフォーマンス面に関して、認識を新たにした点や思いを深めた点などはいくつかある。以下、それらの点について細かく検討していくことにしたい。

 (注)当日の印象と大きく異なっていた唯一の点は、2人のヴォーカル。現場ではけっこう音がズレている(声が上ずっている)ように聞こえたのだが、DVDで視聴する限りでは2人の音程はさほど外れてはいなかった。音ズレに酔ってしまった「眠れない三日月」についても(詳細はこちらの記事を参照)、DVDを聞く限りでは全く問題はなく、むしろベスト・パフォーマンスの一つであることが判明した。
 この点については先のレビューでもチラッと触れたとおり、会場の音響の方に問題があった(反響が良すぎて、僅かな音のズレが筆者の立ち位置では増幅されて聞こえてしまった)のかもしれない。まあ真相は不明だが(笑)、いずれにせよ今回DVDを視聴することで、二人の歌唱力の評価は(筆者の中では)上方修正されることとなった。一回の現場の印象だけでアーティストのパフォーマンスを判断してはいけない。そう思い知らされた次第である。

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2010年8月 1日 (日)

『MARIA BOX』雑感(3)ディスク5(ラスト・ライブ)全般について

 実はこのディスク5については、あまり語るべきことがない(というか、うまく語ることができない)。このライブを体感した後では、どんな言葉も空々しく響いてしまうような気がするからだ。「語れないことについては、沈黙しなければならない」と述べたのは、哲学者のウィトゲンシュタインであった。しかし、それでは記事にならないので(笑)、例によってややマニアックな角度から、少しずつこのディスクの検討を始めることにしたいと思う。

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2010年7月19日 (月)

『MARIA BOX』雑感(2)ディスク4の見所・楽しみ方について

0 収録ナンバー

 ディスク4は、シングルのPVクリップと既出のライブ映像を再編集したクリップ、デビュー前から2ndアルバムまでのオフショットをつなげたヒストリカル・クリップ、ラストライブ直前の模様を収めたドキュメント・クリップから構成されている。収録曲は以下の通り。

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2010年7月17日 (土)

『MARIA BOX』雑感(1)ボックス全体の構成とディスク3の感想

 MARIAからの最後の贈り物である『MARIA BOX』。もちろん、筆者は発売前日の6月29日にはフラゲし、以後、暇のあるときにはCDやDVDを楽しませてもらっている。当初はこのボックスについてのレビューは書かないつもりだった。前回の記事のラストでも触れたように、ファンがいつまでも過去に囚われているのは、ファン自身にとっても、再スタートしようとしているメンバーたちにとっても、あまり好ましいことではないように思えたからだ。

 でも、彼女たちの勇姿を見ているうちに、やっぱり何か一言書いておかなくては、という気持ちになった。それは「ファンとしての最後の務め」でもあるだろう。ただ、MARIAや各メンバーに対する筆者の想いは、これまでの記事で全て書き尽くしているような気がするし、バンドが既に解散してしまっている以上、以前のように「精緻な議論」を展開するだけのモチベーションが湧かないことも、紛うことなき事実である。

 というわけで今回の記事は、これまでのように何らかの深い記述や分析を伴った「レビュー」ではなく、『MARIA BOX』に対する筆者の素朴な雑感をとりとめなく書き記した「随想(エッセイ)」形式になっていることを、予めおことわりしておく。まあ、気軽な気持ちで読み飛ばしていただければ幸いです…

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2010年5月18日 (火)

旅立つ君へ MARIAへのラスト・メッセージ

はじめに

 4月17日のラスト・イベント(於・札幌ペニーレーン24)、そして翌18日のブログへの書き込みをもって、MARIAは(ひとまず)その公式な活動を終えることとなった。残念ながら私は最後のイベントには行けなかったが、参加した方のレポート(こちらの記事こちらの日記などを参照)によれば、それは感動的な内容だったらしい(赤坂でのライブを凌ぐ全25曲が演奏され、トークの方も笑いあり涙あり、MARIAらしさ全開のステージだったという)。

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2010年4月18日 (日)

MARIA LAST LIVE Review(3) ライブとバンドについての総評

1 全般的な印象

 ライブ終了後、涙で言葉が詰まってしまった件のスタッフさん(前の記事を参照)が、その少し後で「これまで見てきた中でも、最高のライブだった」という旨の発言をしていた。おそらく会場にいたほとんど全てのファンは、この言葉に深くうなずいたのではないだろうか。本当に心に残るいいライブだったと思う。

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2010年4月11日 (日)

MARIA LAST LIVE Review(2) ライブ後半~帰京

2 各曲レビュー(続き)

13 カナシミレンサ(作詞:愛華、作曲:TATTSU)

 ここからはアップテンポの曲が怒涛の8連発!その冒頭を飾るのは、MARIAの最後のシングルとなってしまった「カナシミレンサ」。以前から「この曲はライブでは映えるだろうな」と思っていたが、その期待は裏切られなかった。

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