自宅外でNICOLAを運用するには(中)(親指シフト導入記20)
4 他のIMEをJapanist化する(ATOKの場合)
これもしつこく繰り返していることだが(笑)、NICOLAはJapanistと共に運用しなければその効果が半減する。しかし、このIMEをサーバ型のパソコンに導入することは、(経費の面からもユーザー数の点からいっても)まず難しいだろう。
もちろん、上司や管理者を説得するのも選択肢の一つだが、あまりゴネると職場で浮いてしまいかねないので(笑)、交渉がうまくいかなかった場合は別の方策を講じた方がよさそうだ。
ここでは、(会社などのパソコンにインストールされている可能性の高い)ATOKの操作性をJapanistのそれに近づける方法について、簡単にまとめておくことにする。(注)
(注)なお、MS-IMEの環境設定については、こちらのページを参照のこと。ATOK14の設定方法についても書いてあります。
4・1 基本的な手順
・言語バーの表示とIMEの選択
まず、言語バーが表示されていない場合は、以下の手順で表示させる。
- スタートメニューからコントロールパネルをクリックして開き、「時計・言語・地域」から「キーボードまたは入力方法の変更」を選択する。
- 「地域と言語のオプション」というダイアログボックが開いたら、「キーボードと言語」というタブをクリックし、「キーボードの変更」を押す。
- 「テキストサービスと入力言語」というダイアログボックが開くので、「言語バー」というタブをクリックし、「タスクバーに固定する」と「言語バーアイコンをタスクバーで表示する」にチェックを入れる。
- 適用ボタンを押せば、言語バーが表示されるはずである。
言語バーが表示されたら、Ctrl+Shiftを連打し、ATOKを選択する。言語バーにAが入ったアイコンが表示されるか、ATOKパレットがデスクトップに表示されたらOK。
・入力スタイルの選択
ATOKパレットの「プロパティ(環境設定)」をクリックして(あるいは、Ctrl+F12でもよい)、「ATOKプロパティ」 ダイアログボックスを表示させる。
[キー・ローマ字・色]タブをクリックし、「スタイル一覧」から「OAK/Win(106キーボード用)」を選択して、「スタイルの選択」ボタンを押す。すると、スタイルの先頭に赤いボッチがつくはずである。(注)
(注)ここで「OAK/Win」を選択すると、「変換」キーの機能が「漢字/半角の切り替え」に固定されてしまうので、間違えることのないように。
・キーカスタマイズ
「OAK/Win(106キーボード用)」が選択されていることを確認したら、次に「キーカスタマイズ」ボタンを押して、設定を以下のように変更する(ここでは専用キーボードの使用を念頭に置いている)
なお、該当キーが見当たらなかった場合、「すべて表示」にチェックを入れれば(デフォルトでは「設定済みの項目のみ表示」が選択されている)、目当てのキーが見つかるはずである。
- BackSpace:入力中を「カーソル前移動」から「前文字削除」に変更
- 変換:文字未入力の操作を、「-----」から「再変換」に変更。
- Ctrl+変換:入力中の操作を、「-----」から「推測変換」(Japanistの予測変換のこと)に変更。
- 無変換:文字未入力を「-----」から「入力文字種全角ひらがな(あ)」に変更。また、次候補表示中を「変換/前候補」から「順次カタカナ後変換」に変更。
- Ctrl+無変換:変換中と次候補表示中を「-----」から「変換/前候補」に変更。
- ローマ字:文字未入力を「-----」から「漢字モード順次切替」に変更。
- その他、個人的にカスタマイズしたJapanistのキー設定も、変更できるのなら変更しておく(筆者の場合は、「Shift+変換」を、入力中・変換中・次候補表示中で「全文確定」を割り当てておいた)
キー割り当てを変更してOKボタンを押すと、「新規スタイル」というウィンドウが開き、スタイル名を聞いてくる(デフォルトでは「ユーザー」)。「Japanist」など適当な名前をつけてOKを押せばよい。
・ローマ字カスタマイズ
次に、「ローマ字カスタマイズ」ボタンを押してダイアログボックスを開き、「追加」ボタンを押して、ローマ字欄に「ltu」、かな欄に「っ」を入力して「OK」を押す。
この作業をしないと、ローマ字入力モードでNICOLA入力をするとき、「っ」ではなく「ltu」がそのまま表示されたり、変換の誤作動が生じたりするので、忘れずに追加すること。
・「入力・変換」の設定
[入力・変換]タブをクリックし、必要な箇所の設定を行う。以下、重要と思われるものだけ、記す。
設定項目の「基本」で、入力・変換の基本操作を行う(以下の図を参照)。ちなみに筆者の場合、入力方法は「ローマ字入力」を選択しているが、これは各人が使用するエミュレータによって違ってくるので、注意が必要。
次に「入力補助」については、以下の通り。
「推測変換」の設定も、Japanistの予測変換の設定に合わせる。
「候補ウィンドウ」の追加する候補を適宜選択。筆者の場合は、カタカナの半角表示を外したり、英数字は全角半角双方を表示させるなどの設定を行った。
その他の設定については、操作しながら適宜、修正してゆけばいいだろう。
4・2 注意事項
以上、ATOKをJapanist化する方法について、必要と思われる部分を中心にまとめてみた。これでかなりJapanistに近い操作法が可能となったはずである。
・一時的な英数モードでの推測(予測)変換の確定操作
しかし、もちろん限界もある。たとえば筆者の場合、「やまぶきR」との組み合わせで使用しているのだが、Japanistの場合はShiftキーで一時的に英数モードになっても、変換キーなどで入力予測候補を選択すれば、即、かなモードに戻るので、次の文の読みを入力すれば自動的に選択候補が確定される。
しかしATOKの場合、同じ操作(推測変換)で候補を選択しても、入力モードは英数のままなので、そのまま次の読みを入力するとうまく候補が確定されない。
候補を選択した時点で確定するか、Shiftキーを再び押してかなモードに戻してから読みを入力する(こちらを推奨)必要がある。
・その他の確定操作
変換候補に番号が振られているので、次の読みが数字である場合、その数値が振られた候補が選択されてしまう可能性がある。
またJapanistの場合、Enterキーで変換候補を選択すると、確定と同時に改行もされたが、ATOKではいったん確定してから改めてEnterキーを押さないと、改行はされないようだ(改行の際の打鍵数が余分に増えるわけである)
他にも、変換操作にまつわる動作がやや鈍くさかったり(たとえば入力予測候補を選択すると、そのつど通常の変換ウィンドウへの切り替えが行われる)、変換ウィンドウの表示位置が微妙に邪魔くさかったりと、Japanistの入力・変換操作のシームレス性に比べると若干見劣りする点があることは否定できない。
4・3 暫定的な結論
とはいえ、筆者が想定していた以上にJapanistに近い操作ができることも確かである。また、設定によってはもっと動作を滑らかにする術もあるのかもしれない(現在、研究中)
これまでJapanistを使えないからという理由で、職場での親指シフトの運用を断念していた方は、ぜひ上記の設定を試してみていただきたい(もちろん、エミュレータとの併用の上で)
完全とまではいかなくても、NICOLAである程度スムーズに入力できる環境が実現するはずである(専用キーボードを導入できれば、操作性はさらにアップすることだろう)
また、万一エミュレータの利用ができない場合でも、IMEの設定をJapanist向けにするのとしないとでは、入力効率がかなり変わってくる。
ローマ字入力を採用せざるを得ない場合でも、ぜひ上記の設定は試してみていただきたい。デフォルトの設定で入力するよりは、疲労度が相当緩和されるはずである。
(以下、次号)
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