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2011年10月31日 (月)

日本語入力システムJapanist(親指シフト導入記7)

1 Japanistとの出会い

1・1 親指シフトへの疑念

 7月初旬に専用キーボードを使用し始めてから肩や首の凝りはすっかり消え、タイピングも次第にスムーズになってきたことで、筆者のNICOLAの習得は順調に進んでいくかに思えた。

 しかし8月に入るあたりから、筆者の中にある疑念が芽生え始めた。「本当に親指シフトは速いのか?」という疑念がそれである。

・実感の欠如

 その頃にはキーの配列もだいたいマスターし、ほとんどの文書の作成を親指シフトで済ませられるようになってはいた。しかし、ローマ字入力の頃と比べて「入力が格段に速くなった」という実感がどうにも沸かないのだ。

 もちろん、入力にかかる時間をきちんと測定したわけではないので、これはあくまでも筆者の主観的な印象にすぎない。また、以前のように無意識的かつ正確に入力できるタイピングのレベルにまだ到達していなかったことも事実である。(注)

 (注)おそらくきちんと入力速度を測定していれば、この時点(8月初旬)で既にローマ字入力のそれを上回っていたと思う。しかし、そうした逆転が生じていることは、人間の「主観」ではなかなか捉えられないものなのだ。
 学習過程におけるこうした主観と客観の乖離の問題については、後日、改めて検討することとしたい。

 しかし、いかにタイピングの技量が向上しようとも、「コンテストでOASYSユーザー(=親指シフター)が上位を独占していた」という宣伝文句からイメージされるような圧倒的なスピード感、ましてや「指がしゃべる」ような快適な打鍵感を味わえるとは、この時点では到底思えなかった。(注)

 (注)コンテストの件については、こちらの記事などを参照。また、親指シフトのユーザー・サイドの打鍵感については、こちらの語録を参照。

 この先、入力速度が多少アップしたとしても、知的生産のプロセス全体が劇的に改善されるとは考えにくい。結局、NICOLA信者の甘言にうまく乗せられてしまっただけなのではないか?

 親指シフトの練習を開始して二月を経過しようとしていた頃、そんな黒い疑念がムクムクと鎌首をもたげるようになってきていた。

1・2 Japanistとの出会い
・ある書き込み

 そんな8月のある日、例によって2chの親指シフト関連のスレッドをつらつらと眺めていたところ、「Japanistを使わないと親指シフトのメリットは半減する」という書き込みを見つけた。

 筆者自身は生粋のATOKユーザーである。長年育ててきたユーザー辞書の存在もあり、他のIMEへ移行する気はこれまで全く起きなかった。

 親指シフトの導入に際しても、「やまぶきR+ATOK」の組み合わせがとりあえず機能していたので、Japanistのことは完全にスルーしていたのである。(注)

 (注)もちろん、余分な経費をこれ以上かけたくないという(せこい)損得勘定が働いていたことも事実である(笑)
 なにしろ、Enermaxキーボードの失敗(こちらを参照)があったばかりだから、財布の紐が自ずと固くならざるを得なかったのだ。

・購入へ

 しかし、上記の書き込みに刺激されて、Japanist関連のスレッドやサイトをいろいろと漁っているうちに、筆者の心はすっかり揺らいでしまった(苦笑)

 「もしかしたらあの書き込みは的を射ていたのではないか?」

 「Japanistを使用すれば、親指シフトに対する最近の欲求不満も多少は解消されるのでは?」

 そんな希望的観測で頭がいっぱいになってしまったのである。こうなったら、あとは実際に自分で確かめてみるしかない。

 というわけで、さっそくアマゾン経由でJapanist2003(パッケージ版)を購入。メーカー希望価格は6090円だが、アマゾンでは3990円と2000円も割安となっていた(在庫が相当余っているのかしら?)

2 インストールにあたっての注意事項

2・1 アップデートの必要性

 OSがVista以降(32bit版)の場合は、アップデートパックが必要(こちらからダウンロードすることができる)

 なお、キーボード(親指シフト)がFMV-KB232ないしFKB7628(サムタッチ)の場合、OSがXP以前であっても、上記のアップデートを適用する必要があるので、要注意のこと。

2・2 64bitOSへの対応

 また、64bit OSを使用している場合、Japanist2003のインストールは可能だが、64bit版のアプリケーション上では機能しなくなる(32bit版のアプリではきちんと作動する)

 Windows7の64bit版に対応した体験版(無料)が7月に発表されたので、64bitOS環境でJapanistを使用したい人は、こちらをインストールした方がいいかもしれない(ただし、機能制限あり)

3 基本的な設定

 筆者はJapanistを使用し始めてからまだ一月ほどしか経っていないので(草稿執筆の9月時点)、設定についてはまだ十分に把握しきれていない部分が多い。

 また、作成する文書の種類によって、最適な設定スタイルも当然変わってくるだろう。

 そこで以下では、筆者自身の設定例を挙げながら、適宜解説を加えていくスタイルを取ることにしたいと思う。(注)

 (注)ちなみに筆者がこの設定で主に作成するのは、ブログ(縦書き表示も念頭に置いている)や論文(文系)の原稿と授業用レジュメである。文書の作成は主にWz-editorを使用している。

3・1 動作環境の設定
・表示の切り替えと環境スタイル

 初めに動作環境ダイアログを起動する(ショートカット・キーは、「Ctrl」+「Alt」+「半角/全角」)。デフォルトでは「簡易表示」になっているので、切替ボタンを押して「詳細表示」にする。

 環境スタイルについては、とりありえずは「標準」を選択しておけばよい(カスタマイズしたあと、スタイルの名前を変えることも可能)

・文字入力

 次に「文字入力の設定」についてだが、以下、筆者の設定例を見ながら説明を加えていこう。

Japanist_moji_nyuryoku_2

 重要なのは「初期入力状態」の設定。2chのスレ等で勧められている設定は以下の通り:

  1. 文字の種類を「英数」
  2. 文字の幅を「半角」
  3. 「自動的に起動する」にチェックを入れる

 通常の場合はそれでいいと思うが、筆者の場合、縦書き表示用に英数字も全角で表記する必要があるのと、上記の設定ではスペース1回の入力が「半角」になってしまうという問題がある(文系の論文では、段落の冒頭は全角スペースを空けるのが鉄則)ので、あえて文字幅を「全角」に設定した。(注)

 (注)ファイル操作などで英数モードの半角表示が望ましいときは、「半角/全角」キーで文字幅を一時的に切り換えてやればよい。
 また、文字幅を半角に設定した場合でも「全角スペース」が入力できるよう、キー割り当てを変更した。これについては、「キーボード」の設定を参照。

 また、上の図では「ローマ字/かな」の設定で「かな」を選択しているが、Japanistをローマ字入力で使いたい場合は、「ローマ字」を選択すればよい。

 その他の設定事項については、入力経験を重ねながら自分の文書に最適な設定を探っていくしかないようだ(筆者自身も現在、模索中)

・変換

Japanist_henkan

 「変換」の設定については、基本的にはデフォルトのままで構わないと思うが、「変換方式」は「文節変換」か「複文節変換」が望ましい(ATOKのように、長文をまとめて変換するのには適さない)

 また、「記号入力による自動変換」(句読点などを入力すると、自動的に変換作業に入ってくれる)は便利な機能なので、適宜、チェックを入れておくとよいだろう。

・学習

 デフォルトの設定のままでよし。

・動作

Japanist_dousa

 この設定も重要。まず、「未確定文字列の確定操作」の「設定」ボタンを押し、上3つの項目にチェックを入れる(上の図を参照)

 次に、「英字/カナモード時の変換/無変換キーの動作」で、両方の項目にチェックを入れる。

 その下の「無変換キーによるモード変更」で「かなモードに変更」を選択すると、英数(Caps Lock)キーで英数に、無変換一回で日本語入力にスムーズにモード・チェンジすることができる(2chのスレッドより)

・候補

Japanist_kouho

 ATOKなどでは変換候補に番号が振られているが、Japanistでは「表示しない」を選択した方が望ましいように思う。(注)

 (注)Japanistでは変換候補を選択した後、いちいち確定せずとも次の読みを入力すれば前の候補が自動的に確定される仕組みになっているが、この操作で次の入力文字が数字であった場合、意図したものとは違う候補が確定されてしまう可能性があるからである。

 また「入力予測候補リストを表示する」の設定では、1文字の入力でも予測できるようにしておくと、定型的な文書では効果的に打鍵数を減らすことかできる。

・変換状態

 使用するアプリの設定に規定されるので、デフォルトのままでよし。

・入力モード

 邪魔にならないよう、タスクトレイに格納しておくのがいいだろう。

・出力モード

 Unicodeを選択。

・キーボード

Japanist_keyboard

 ここの設定も重要。

 まず、自分が使用しているキーボードを指定する。通常のJISキーボードの場合は、「106/109日本語キーボード」を選択。

 「キー設定」は、自分でカスタマイズすることができる。「追加」ないし「編集」ボタンを押して、「定義するキー」と「割り当てる動作」を適宜、指定してやれば(図を参照)

 ちなみに、現時点で筆者が加えた変更は、以下の3点。

  1. 全角空白入力:Ctrl+Space
  2. 半角空白入力:Shift+Space
  3. 確定:Shift+変換(デフォルトでは「区切直し変換」が割り当てられている)

 上でも述べたように文字幅の設定を「半角」にしていると、かなモードでもスペースが半角になってしまうので、「全角空白」を入力できるようキー定義を追加した(逆のケースに備えて、「半角空白」も入力できるようにした)

 またJapanistでは、確定済みの文中に後から文字列を入力(挿入)して、変換候補をEnterキーで確定しようとすると、同時に改行もされてしまうので、「Shift+変換」でも確定できるようにした(この機能キーでは、改行はされない)(注)

 (注)Japanistでは、Enterキーは「改行」機能と見なして、確定操作には使わない方がよい。これについては、追って詳細に説明する予定。

 なお、「Shift+変換」はデフォルトでは「区切直し変換」(文節の区切を変更して変換し直す機能)が割り当てられているが、「後退」→矢印キーの操作でも文節を区切直すことができるので、「確定」と入れ換えることにした次第である。

 最後に、「読み入力中の未設定キーはアプリケーションに通知する」にも必ずチェックを入れておくこと。

・快速親指シフト

 動作環境のキーボードの設定にある「快速親指シフト」とは、通常のJISキーボード上で親指シフトを作動させるエミュレーション機能を司るモードである。

Japanist_kaisoku_oyayubi01

 親指シフトキーを「変換」「無変換」「スペース」のいずれかのキーに割り当てたり、「BackSpace」や「Esc」キーをホームポジション上に移動させることで、親指シフトの入力が擬似的に可能になる(上の図を参照)(注)

 (注)ただし、やまぶきRのような専用エミュレーターと比べると、カスタマイズの度合いが小さいので注意が必要。

 また「キー動作環境」の設定で、英字モード及びIME-Offの時、デフォルトでは変換キーに「空白入力」の動作が割り振られている。

Japanist_kaisoku_oyayubi_03

 しかしこの設定では、英字モードで入力した文字列の変換ができなくなる(注)ので、(操作感の統一性を図るためにも)「変換」を割り当てた方がよい(と個人的には思う)

 (注)英字モードで変換作業ができると、英単語を全角小文字で入力したあと、全角大文字の候補や先頭文字だけ大文字の候補を選択できるようになり、入力前にいちいち「Shift+Caps Lockキー」で切り換えたる必要がなくなる

追記(2011年10月30日)

 繰り返すが、上記はあくまで筆者自身のある文書用の設定に過ぎない。どんな設定が最適かは、ユーザーや作成する文書によって変わってくる。

 どの文書にどのような設定が望ましいかは、Japanistの操作性に慣れるにつれて自ずと明らかになってくると思うので、初心者はとりあえずは上記の設定例を取っかかりにして、文書作成の経験を積んでいただきたい。

 やがて、最適な設定を探すこと自体が楽しくなってくるはずである。

 (以下、次号)

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