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2011年10月29日 (土)

キーボードをめぐるドタバタ劇(下)(親指シフト導入記5)

5 専用キーボードの導入

5・1 限られた選択肢

 2011年8月現在、入手可能な親指シフト専用キーボードは、富士通から販売されている以下の3種に(事実上)限られている。

 もともと生産台数が少ない上、中古品はまず市場に出回らないからだ(熱心な親指シフターが、万一に備えて複数台、確保しているという説をどこかで読んだ記憶がある)

  1. FMV-KB232(テンキー付の標準的な親指シフトキーボード)
  2. FMV-KB613(親指シフトキーと変換/無変換キーが独立、旧OASYSユーザー向き)
  3. FKB7628(携帯用、商標は「Thumb Touch」)

 本当はREALFORCEと同様、テンキーレス・タイプのキーボードが欲しかったのだが(机が狭いもので)、3のサム・タッチは携帯用であるため、テンキー以外にも重要キーがオミットされていたり、キー・ストロークが浅めであるなど、据え置きで使用するには非力?な感が否めず、却下。

 また2のオアシス・タイプも、1に比べて一回りサイズが大きく、インターフェイスもUSBではないため(筆者のパソコンにはPS/2端子がついていない)、結局、消去法でFMV-KB232を購入することにあっさり決定する。

 さっそく富士通製品専門店のアクセスに商品を注文する。価格は輸送費込みで3万220円だった(2011年7月5日時点)

5・2 設定について(追記を要チェックのこと)

 KB232のUSB端子をパソコンに接続すれば、すぐにJISキーボードとして使用できる。ただし、親指シフトを使用できるようにするためには、日本語入力ユーティリティのJapanistか、別のエミュレーション・ソフトが必要。

・やまぶきRの設定

 筆者はすでに「やまぶきR」をインストールしていたので、すぐに親指シフトで入力することができた(ただし、ローマ字入力モードにしてやる必要がある)

 また、この時点ではIMEにATOKを使っていたので、やまぶきRで「無変換」と「Space」キーを入れ替え(注)、「Space」に左親指シフトの機能を割り当ててやることにした。ATOKでは「Space」キーを多用するからである。

 (注)やまぶきRで機能キーを入れ替えるには、配列定義ファイルに[機能キー]という項目を書き加え、二つのキーを半角コンマで区切って指定してやればよい(先に指定したキーを、後に指定したキーで置き換えることになる)
 ただし、一部の機能キー(「CapsLock/英数」「半角/全角」「カタカナ/ひらがな」「漢字」「英数/カナ」「漢字/カタカナ」「ひらがな」)の入れ替えはできないようだ。これらのキーの入れ替えには、別のソフトを使う必要がある。
 詳しくはやまぶきのマニュアルを参照のこと。

追記(2011年10月27日)

 Japanistを使い慣れた現在の目からすると、ずいぶんと妙な設定にしたものだと、自分で自分に呆れている(笑)。ただこの時点では、ATOKの操作法との兼ね合いから、このようにするのがベストだと思い込んでいた。

 これから親指シフトを始めようという方は、専用キーボードとJapanistを同時に購入した上で、まずはJapanistの操作法に慣れることをお勧めする(タイプ練習はその後から始めればよい)

 なお、Japanistの設定や操作性については、後日、詳細に論じた記事をアップする予定である。くれぐれも上記のようなアホな設定は採用しないで下さい(笑)

5・3 使用感と効用
・快適な打鍵感

 専用キーボードを使ってみて驚かされたのが、その入力の快適さ。たとえば、これまで悩まされてきた同時打鍵(どうしても親指が窮屈になってしまう)についても、実に無理なく入力することができる(以下の写真を参照)

Pic_kb232

 また、キーを押したときの感触も実に柔らかくて心地よい。この感触を味わってしまうと、ローマ字入力ではあれほど心地よかったREALFORCEのキー・タッチでさえ、親指シフトには向かないように思えてしまう(弾力がありすぎるのだ)

 もちろん、戸惑いが全くなかったわけではない。Enterキーの小ささと、後退(Back Space)キーと取消(Esc)キーの位置には、当初やはり違和感があった(以下の写真を参照)

Pic_kb232_esc

 しかし、2~3日タイプ練習するうちに、この違和感はすぐに解消されてしまった。それどころか、ホーム・ポジションからさほど手を放さずに済むその絶妙の配置に、感銘さえ覚えるようになっていったのである。(注)

 (注)JISキーボードでローマ字入力をしていたときは、Escキーなどはほとんど使っていなかった気がする。後退も、文字列を選択してDeleteキーを使うことの方が多かったかもしれない。
 また変換などの際には、大きなEnterキーを(時には中指で)バシッと引っぱたいて確定操作を行なっていたが、今から考えると実に無駄な動きをしていたものだ(まあ、ストレスの発散にはなっていたのかもしれないが…(笑)

・細やかな工夫とその効用

 他にも、

  • ホームポジションの目印キー(ポッチがついている)が、「F」と「J」(人指し指)だけでなく「A」と「;」(小指)にもついている(ミスタッチを防ぐため?)
  • 親指シフトキーが他のキーよりも心持ち柔らかめである

など、親指シフトでの入力を快適にするための工夫が、いろいろと凝らされているように感じられた。

 実際、専用キーボードに切り換えてからわずか2~3日のうちに、肩や首の凝りは一掃されてしまったのだから、いかにこのキーボードが親指シフトの入力に適した機種であるかが分かる。(注)

 (注)このあたりの絶妙の使用感は、OASYS(ワープロ專用機)の開発以来、30年に及ばんとする研究の蓄積の賜なのだろう。
 不景気でいろいろと大変だとは思うが、富士通さんにはぜひ、この貴重な文化財の繼承に努めていただきたいところである。

 というわけで、親指シフト用のキーボードをめぐる筆者のから騒ぎも、専用機種(FMV-KB232)の購入によってめでたく?一段落つくこととなった。

 (以下、次号)

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