縦書き表示導入記(4) 半角英数問題
「竹取JS」を導入してから、そろそろ2週間ほどが経過する。過去ログを縦書きで表示させたり、ブログの下書きを縦書きで書いてみたりしているうちに、いろいろと気づくことがあった。そのいくつかの論点について、あれこれ考察していきたいと思う。
4・1 反転する半角英数
縦書きと横書きを併用するにあたって最も難儀するのは、英数文字の取り扱いである。言うまでもなく横書きでは英数文字は半角で表記するのが一般的だ。文書によっては、それがルールになっているケースも少なくないだろう。
ところが縦書きに変換すると、半角英数だけは横倒しになって表示されるため、読者のリーダビリティが著しく損なわれることとなる。また、「竹取JS」では半角2文字までは「縦中横」処理が作動するため、話がややこしい。特にIEでは半角英数と縦中横の表示位置が極端にズレたりするため、縦書きでの読みやすさを考えるなら、英数文字はすべて全角で表記する、あるいは、カタカナや漢数字に変換することが望ましいということになる。
4・2 あちらを立てればこちらが立たず
しかし、そうすると今度は横書きのリーダビリティに影響が出てくるから、話は厄介だ(苦笑)。例えば短めの英単語(dog)なら全角で書いてもさほど違和感を感じさせずに済むが、長めの熟語や文字列となると話は別である。例えばこんな感じだ。
- It is no use of crying over spilt milk
- It is no use of crying over spilt milk
明らかに半角表示の方がリーダビリティに勝っている。しかも、縦書きに変換しても半角の方が読みやすかったりするのだから、全角英文の立場はない(ダブルクリックして試していただきたい)。
厄介なのは数字も同様である。特に面倒なのが「年月日」の表記だ。論より証拠、実際にある日付を英数字と漢数字、全角と半角でそれぞれ表記させてみよう。
- 2011年12月24日(土)
- 2011年12月24日(土)
- 二〇一一年一二月二四日(土)
- 二〇一一年十二月二十四日(土)
縦書きと横書きとでは、印象がガラッと変わってしまうことがお分かりいただけたと思う。少なくとも、縦書きにも横書きにも最適な表記法というのは、こと日付に関しては存在しないようだ。
また、桁数の多い数値についても同じことが当てはまる。最適解というのが存在しないので、横書きではあっても(縦書き表示に備えて)桁を示す漢字(億、万、千、等々)を組み込んで表現したり、桁数によって全角と半角を変えるなど、ケース・バイ・ケースで表記を工夫する必要がある。
このように日ごろよく使用するフレーズでさえ、縦書きと横書きで統一的な表記をすることは難しい。英数文字の扱いはかくも厄介なわけである。
4・3 英数字の使用を控えればいい?
ならばいっそのこと、英数文字の使用を辞めてしまえばいいではないか。そういった極端な意見も出てくるかもしれない。しかし、話はそう簡単にはいかない。
そもそも、英数字の全く出てこない文章(漢文や古文書などを想起されたい)というのは、縦書きであっても多少息苦しいところがある。漢字のみつしり詰まった文章というのは読む者に威圧感を与え、読もうという意欲を最初から奪ってしまうこととなりがちだ。
また、英数字を多用せざるを得ないテーマというのも確実に存在する。科学やIT・経済などがその典型だが、そういったテーマの記事でキーとなる英数字を無理やり漢数字やカタカナに変換して表現すれば、何とも読みにくい文章となってしまうだろう(特に横書きでは)。
4・4 暫定的なルールと実践的な解決
ではどうすればいいか?あまり厳密なルールを適用するのではなく、大まかなルールの下にケース・バイ・ケースで表記を工夫していくこと。当面はそれでいくしかないようだ。以下はその暫定的な指針である。
- 欧文横文字は、単語は全角、文節以上は半角を基本とする
- 数字は、1桁の場合は全角、2桁は半角(「縦中横」対策)、3桁以上は桁数を示す漢字と組み合わせながら全角/半角を適宜判断する
- 日付については、最初に登場する年号は全角、その後に続く年号(下二桁)や月・日については上の数字のルールに準ずる。もちろん、ケースによっては漢数字の利用もあり。
- 半角英数と縦中横があまり連続しないようにする。また、半角英数をくくる括弧は半角のもの("")に統一する
あとは、実際に記事を書いて添削していくなかで、適宜、表示を工夫していくつもりである。何かの参考にしていただければ幸いだ。
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