ZONEと私(2)―出会いはふとした瞬間―
2 ZONEとの出会い
2・1 きっかけ
昨年9月のある日(正確な日付は覚えていない)、私はYouTubeでひたすら自分の好きなバンドやアーティストの動画を検索していた。
私の好きな音楽のジャンルは、70年代のブリティッシュ・ロック、特にプログレ(progressive rockの略語)と呼ばれる、今ではすっかり影が薄くなってしまったジャンルである。
私のよく行くプログレ・サイト経由で、ジェネシス(ピーター・ゲイブリエル在籍時)や キング・クリムゾン(ジェイミー・ミュアー在籍時)の珍しい動画を見てえらく感動して以来、YouTubeをちょくちょく利用するようになっていた。
ところでYouTubeの利用初心者にはよくあることだが、検索を始めると「かっぱえびせん」のごとく止められなくなる。関心の焦点がどんどんずれていくのである。
この日も当初はプログレ・バンドの動画を探していたはずなのだが、検索を続けるうちに、日本のバンドやアイドルへと検索対象がずれていったのだろう。
どうやってたどりついたかは覚えていない。モニターを見続けて朦朧となった目にふと飛び込んできたのが、ZONEの動画だったわけである。
2・2 解散ライブ映像の驚き
・演奏している!
その動画は、ZONEの武道館での解散コンサートを収録したものだった。先の記事にも書いたが、その時点では私はZONEについての知識がほとんどなかった。楽器を持って踊る4人組のアイドルくらいの認識しかなかったのである。
ところが、その動画を見てまず驚かされたのは、彼女たちがしっかり演奏をしていることだった。稚拙ではあるが、ソロ・セッションもしている。彼女たちが単なるアイドルからミュージシャンへと成長していたことに、私はえらく感銘を受けた。
・名曲揃い
もうひとつ驚かされたのは、演奏される楽曲の良さ。ZONEというとどうしても代表曲の「Secret Base~君がくれたもの~」(以下、シクベと略す)のイメージが強いが、それ以外にも名曲が多い。
特に「For Tomorrow」という曲は、聞くとすぐに気に入ってしまった。他にもバラードからハード・ロック調の曲までバラエティーに富んでおり、しかもどこか懐かしい響きやフレーズを含んでいる。
「こんないい曲を歌っていたのか」というのが第二の驚き。
・TOMOKAの急成長
そして第三の驚きは、新メンバーのTOMOKAの変貌とその実力だった。2003年の紅白をもってZONEの初代リーダーだったTAKAYOが脱退、翌年の2月にインディーズ時代のメンバーでもあったTOMOKAがバンドに(再)加入する。
この時期、「新生ZONE」としてよくテレビにも出ていたから私も覚えているのだが、この時の彼女のイメージは「おぼこい娘だな」というものだった。(注)
(注)下の「卒業」のPVで、ぎこちなくギターを扱っている背の高いポニーテールの女の子が、この時期のTOMOKAである。
その後、しばらく見かけないなと思っているうちにZONEは解散。ミュージック・ステーションで放映された解散コンサートの中継でも、彼女はシクベの短いフレーズを歌っただけで、さほど視聴者にはインパクトを残さずに消えていった。
しかし、YouTubeにアップされている「ROCKING」(現在は削除中)を見て、私はびっくりした。彼女がこんなにハード・ロックが似合うとは知らなかったからである。
また「空想と現実の夜明け」では、ギターをかき鳴らしながら同じくハードロック・チューンの曲をセンターで堂々と歌っている。
彼女がZONEに加入した当初、ほとんどギターを弾けなかったであろうことは、卒業のPVのぎこちなさが証明している。それがわずか1年のあいだに、すっかりギターが板につくようになっていた。
このTOMOKAの変貌と成長が、実はもっとも大きな驚きであったかもしれない。
………
こうして、9月のある日のふとした瞬間、ZONEという存在が私の脳裏に強く刻み込まれることとなった。(注)
(注)なお、上記の解散コンサートの模様は、『ZONE FINAL LIVE in 日本武道館 2005/4/1~心を込めてありがとう~』に収められている。YouTubeの映像を見て関心を持たれた方は、ぜひ完全版を見ていただきたい。
(次号へ続く)
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